福岡市美術館様からのご依頼で螺鈿作品の制作を行いました。
同美術館では、教育普及事業の一環として「どこでも美術館」と題したアウトリーチ活動を実施しており、美術館スタッフがオリジナルの美術教材を持って小中学校などへ出向き、美術鑑賞や制作体験のプログラムを行っています。
(詳しくは福岡市美術館のウェブサイト の教育普及ページやブログをご参照ください。)
今回はその持ち出し教材用として、福岡市美術館所蔵の作品を原案に螺鈿の小皿を2点制作しました。
実際に触れると、塗膜や螺鈿(貝片)の薄さを感じることができます。
制作した螺鈿小皿
制作した螺鈿小皿
福岡市美術館様からのご依頼で螺鈿作品の制作を行いました。
同美術館では、教育普及事業の一環として「どこでも美術館」と題したアウトリーチ活動を実施しており、美術館スタッフがオリジナルの美術教材を持って小中学校などへ出向き、美術鑑賞や制作体験のプログラムを行っています。
(詳しくは福岡市美術館のウェブサイト の教育普及ページやブログをご参照ください。)
今回はその持ち出し教材用として、福岡市美術館所蔵の作品を原案に螺鈿の小皿を2点制作しました。
実際に触れると、塗膜や螺鈿(貝片)の薄さを感じることができます。
【業務手順】
<訪問打ち合わせ>
館蔵の螺鈿作品を数点拝見し、館のご担当者様と相談しながら原案を決め、採寸、写真撮影を行いました。
今回の原案はこちらの2作品です。
・黒漆石畳文螺鈿筒箱 (福岡市美術館所蔵)
・潤塗葡萄栗鼠螺鈿箔絵硯箱 (福岡市美術館所蔵)
黒漆石畳文螺鈿筒箱、一部拡大
潤塗葡萄栗鼠螺鈿箔絵硯箱、一部拡大
<材料調達>
主な材料
・小皿:径12.0 cm(摺漆を数回重ねた後、1つは2/3程度を黒漆塗り、もう一つは1/3程度を朱漆塗り)
・夜光貝(薄貝):0.15~0.20 mm厚
・膠
・黒呂色漆
・朱漆
<制作>
大まかな工程手順
1.作品の画像を実物と同等サイズになるよう印刷し、タイプ用紙に写します。
2.写した図案をアクリル樹脂板に貼り付け、糸鋸で形を切り出し、鑢で整形します。
アクリル板を図案に沿って切る
完成したアクリルの型と出力した画像の切り抜き
3.夜光貝の表面(おもてめん)を水研ぎし、傷を取ります。
4.夜光貝を水で湿らせ、アクリルの型に沿って針でなぞり、型抜きをします。葡萄の実は穴あけポンチで押し抜きます。
5.切り出した貝片の形を鑢で整えます。
アクリルの型に沿って夜光貝を切る
貝片を鑢で整形する
完成した葡萄と栗鼠の貝片
6.貝片を小皿に10~12 %程度の膠で貼り付けます。
7.朱漆を塗り、乾燥(硬化)させます。
葡萄と栗鼠の貝片を膠で貼り終えた状態
漆を塗り乾燥(硬化)させた小皿
8.漆の乾燥(硬化)具合を見て、ヘラなどを使って貝片の上の漆塗膜を剥がします。
9.摺漆のみの側にも、同じように膠で貝片を貼り付けます。これにより貝の薄さや色の違い・透け感などが分かりやすくなります。
貝片の上の漆塗膜を剥がす
貝片を膠で貼る
<報告書の作成と納品>
制作中に適宜写真撮影を行い、制作工程の記録を取ります。
教育普及活動に生かしていただけるよう、材料や道具、工程などがわかる報告書を作成し、納品の際に提出しました。
今回、制作に使用したアクリルの型や予備の貝片も、作品とともに活用していただけるようお渡ししました。